3 學びて思はざれば則ち罔し
まなびておもわざればすなわちくらし
本日ご紹介する論語は「學びて思はざれば則ち罔(くら)し。思ひて學ばざれば則ち殆(あやう)し」です。
この意味は「教わるばかりで、自分で考えることが少ないと力はつかない。自分で考えてばかりで、人に学ばないようだと、考えが偏るので危険このうえない」ということです。
学ぶばかりで、自分で考えようとしない人は、自力で答えを出す力が養われないので、物事の本質を見抜く力が身につきません。見ているようで見ていない状態に陥ります。
逆に、自力で考えるばかりで、真実を学ぶことをしない人、あるいは、自分と違う意見を取り入れようとしない人は、考える思考の幅がとても狭くなり、自分の考えがすべて正しいと思い込み、独善的になりがちです。こうした状況になると、大変、危険な状況になります。
仕事も同様です。人から教えられて指示されたとおりに動いているだけでは、自ら仕事の価値を高めることはできませんし、成果を出すこともできません。自分の頭で考えて行動することにより、仕事の価値を高め成果を出すことができるのです。こうした考え方を基本にしていると、仕事を通して自らの実力を高めることができるのです。一方で、人の意見を聴かずに、自分勝手に仕事をしていると、真実を学ぶことができずに失敗してしまうのです。新しい仕事にチャレンジするうえでは、失敗はつきものです。失敗を恐れることはありませんが、人の意見を聴かずに自分勝手に物事を解釈して、独善的になってはいけません。
◆知識を得る本来の目的
知識を得る本来の目的は、その知識を社会に活用することにあります。論語を学んで得た知識を実務において活用するためには、それを自分のものにしなければなりません。論語に限らず、テレビやネットで得た情報は、その段階では、本当の意味で自分の身についているとは言えません。したがって社会の役に立つように活用することもできません。特に、テレビやネット情報は、何が本当の事なのか、よく吟味をしないと誤った情報に右往左往することがあるので、注意が必要です。本物の番組を取捨選択しないと、いつの間にか心が風邪をひいてしまいます。心を健康な状態に保つためには、悪い言葉やイメージを植え付ける番組を見ないこと、意識して良い番組を見ることが大切です。また、私たち自身が、人を傷つける言葉を発しないように気を付けなければなりません。
書物も同じです。良い本を読まないと、正しい知識を得ることができません。良い本の定義は難しいですが、時代に流されずにその価値を放ち続けている本が「良い本」といえるでしょう。逆にベストセラーであっても、1年で消えてなくなる本は、良い本とは言えません。長い時間、読み継がれているということは、そこに真実があるのです。そういう本は、時代とともに色褪せることなく光り輝いています。
私たちは、そういう良い本を読みたいものです。本は、自分の心との対話です。情報を得るために読むのではありません。自らの心と対話するために読むのです。ですから、あえて、難しい本を読むことをお勧めします。わからなかったら、もう一度読みましょう。何度も読むうちに真実を学ぶことができるようになります。